お話やキャラクター、制作過程の話など






※ 注意!!本編のネタバレを含みます!!










雪原が舞台の短編を自由に書いてみようと思い、できた作品です。
これまでの作品と別の世界を舞台にしようと漢字名にしたところ、名付けのハードルが下がり、すんなりキャラ名が決まりました。ファンタジー日本が舞台なのでカタカナ言葉も自由に使いました。おかげでとても書きやすかった…。

これまではがっつりと恋愛描写・性描写を挟み、キャラクターそれぞれの扱いも均等になるように、バランスを意識してストーリーを組んでいましたが、今回はそれらをせず。制作にかけられる時間が少なくなってしまった身辺の都合もあり、書きたい部分だけ好きに書き、さっくり読めるものにと考えていました。そのためキャラクターそれぞれの事情はそこまで掘り下げず、扱いも偏っているかと思います。

本当はブラウザゲーにしたかったのですが上手く行かず…また別の機会に挑戦したいです。顔グラの表示方法を変えたのは、手間が増えましたが個人的には楽しかった点。

ちょっとやってみたかったクリック探索はとても分かりにくく、楽しさに繋がる内容ではなかったと思いますが、作っている身としては導入そのものが楽しかった。あくまで趣味なので、作る楽しさが最優先です。どこかで別の形で生かせたらいいな…。

制作環境の変化を考慮していなかったために、データ量がとても重くなってしまいました。次回への反省点です。




ユキフミ


陽気なタイプに挑戦しよう!と思ってできたキャラクターです。ユキフミみたいな性質の人が周囲にいないではないのですが、あまり自分自身と共通する部分がなく、大分想像で補った感じがあります。

これまでの主人公たちと比べると、群を抜いていい子な感じになりました。今作は嫌な奴を描いてみようという気持ちもあり、ミツグやセンリとの掛け合いをするにあたり、楽観的な性質がとても動かしやすかったです。もっとふざけた台詞を喋らせたかったのですが、雰囲気上それができない場面も多かったです。

名前の由来は「雪を踏んで進む」という現状から。作中でもさくっと言及されていますが、漢字をあてるなら「行史」とかでしょうか。

過去の事情など、作中で最も触れていないのがユキフミかもしれません。他のキャラの事情に対しても「別にわざわざ尋ねる必要はない」というスタンスなので、多分過去いろいろありましたが、本人も気にしていません。




ミツグ


嫌な奴その1。とても偉そうで理屈っぽくて、ユキフミにすらあの態度なので、序盤でかなり嫌われてしまっただろうなという気がします。

キャラの方向性がしっかり決まっていたため、セリフを書くのもデザインするのも楽しかった。ある意味メインヒロインにあたるのに、当のミツグがこの言動なのはこの作品のしんどいところだなと思います。

もとの家族の中では末っ子で、上の兄弟がいたであろうということで、漢字をあてると「満次」かな。きっと兄がいます。

ユキフミとの関係は、ミツグ本人もあまりはっきりと捉えられていない感じがします。ユキフミの気持ちよりも、ユキフミが生きていける結果の方を重視していたのは、ミツグが話す通りにただの執着かなと思います。

上着はもっと茶や黒っぽくなるかなと思うのですが、見栄え重視で赤系に塗りました。人間でなく化け物の血なので、ちょっと性質が違うということで…。




ヒイラギ(ヒビキ)


センリの相方としてできたキャラです。名前は、なんかいいお家の苗字っぽいイメージの「柊」を先に決め、名前は後で判明する関係上、同じ「ひ」始まりにして違和感がないように「響」としました。

ぐずぐずぐだぐだとさっぱりせずに、「嫌じゃない?」「俺でいいの?」というような鬱陶しいことを言うので、会話がだらだらしがちでした。それが気になってたまらず、読み返す度にヒイラギのセリフが削られていきました。また、一人称を「僕」と間違えて打ってしまうことも多く、たくさん修正しました。

兄であるゲンシは、ヒイラギ(ヒビキ)が思っている以上に弟を敵視しています。母と同じく異性に好かれる性質をもったヒビキは、あちこちに子を為しそうだと思われていたからです。数の少ない新種にとって、子沢山は力。実際はというと、ゲンシに敵視されることを避けたいがため、ヒビキ自身は女性と深い仲にならないようにと気を付けていました。物事をはっきり決断することからのらりくらり逃げようとするのも、家の中での処世術の一環です。

「俺を十人集めるよりも、センリ一人の方が百倍強い」と適当なことを言っていますが、実際センリと1対1でまともに戦わせると、そこまで実力差があるわけではありません。ただ、実戦の緊張感と判断力・行動力の面で、結果的にはセンリの方が強いという感じです。また、センリはヒイラギに比べ好戦的ですが、ヒイラギは戦いに対してかなり消極的です。とにかく戦いたくないし、危険なのも怪我をするのも嫌。自身の苦手な部分を嫌がらずやってくれ、決断もしてくれるセンリの隣は、ヒイラギにとってはかなり居心地のいい場所でした。




センリ


嫌な奴その2。口が悪いキャラクターは苦手なのですが、敢えて挑戦しようかなと思い、罵倒の言葉なんかを友達に教えてもらいつつセリフを修正しまくりました。がっつり恋愛描写を入れていたら、ここまで口悪くはできなかっただろうと思います。新鮮で楽しかった!

態度の悪いセンリを、周りの三人がそこまで気にしないのはどうかなと思いつつ、嫌われ者の扱いはストーリー上の課題と思っています。切れ味鋭そうな響きにしたかった名前は、漢字をあてると「千理」かな。

センリに大きく関わるはずのキャラとして、ヒイラギの兄にあたるゲンシの存在がありますが、本編に登場することはありませんでした。出てきた方が話の説得力はあっただろうなとは思うのですが、チラッと登場させるだけでは薄っぺらい感じになりそうだし…と、匂わせるだけになりました。そういう意味で、センリの周囲の事情も心情も、少ない情報から推し量るしかなく、物足りなさと唐突さがあったと思います。





 各エンディングについて

なんとなく、今作はエンドタイトルをつけてみました。



◆END1ひとつ結び(融合)
キャラが複数いる絵を描く時には、いつも肌の色を変えるようにしているのですが、融合のイラストについては一つになる図なので、同じ色を使いました。このシーンを描きたいがための今作!!とばかりに力が入りました。描いてて楽しかった。


◆END2残された者たち(ヒイラギとミツグ)
4人のメインキャラを考えた時に、どの組み合わせでカップルになってもいいな、などと考えながらも、ヒイラギとミツグはあまり相性が良くないだろうなと思っていました。あるとするなら、互いに大事な相手を失った状態で傷をなめ合うしかない!と考えていたところ、なぜかこの二人だけ個別エンディングができました。
新種でないミツグが、食べ物もない中で眠り生きていられたのは、心を通わせた個体どうしで同化する旧型の特性によるものかなと思います。ヒイラギと同じ状況、似た心情となり、命の危機に瀕することで、眠る新種の彼と同じようにミツグも眠りました。旧型でないヒイラギとは融合まで至らず。ただ、ちまちまと周囲のものを食べていたという可能性もあるなと思います。ユキフミやセンリの亡骸を食べていたとしたら、それはそれで怖くていいかな。
目覚めたヒイラギがミツグに「背が伸びた?」と言いますが、気のせいです。何となく、本当は二人とも死んでいて、ここはあの世かもしれないという感じもします。


◆END3かえる場所(環)
突然「誰だよ」というキャラが当然のように出てくるエンディング。
ユキフミの名前を「行く」から「回って戻る」意味の環(たまき)に変えました。
ここに至るまでの、別れ際のミツグとセンリのやりとりを書くのが楽しかったです。


◆END4きみで良かった(ミツグ)
エンディングで突然髪型を変えてくるような展開は基本的にやらないのですが、4人一緒で何だかあまりに楽しそうなラストになったので、やってしまいました。ミツグとユキフミが恋愛関係になっていてもいいのですが、かなり距離の近い友人という間柄でもいいなと思っています。センリやヒイラギとの距離も近く、ミツグが二人を呼び捨てしています。特に鍛えてくれたセンリとは、言いたい放題ながらもとても親密になっていそう。そっちでくっついていてもいいねと思っています。


◆END5きっかけをくれた君(ヒイラギ)
ヒイラギが接触するたびに、ユキフミがそれを「すり抜ける」「引きはがす」という、逃げがちな動詞を使っていました。ユキフミが嫌がっているわけではないものの、このエンディングではヒイラギからのすり抜けスキルがめきめき上がったのだろうし、それを本人たちは特に気に留めないのだろうなと思います。最も接触が多く、ヒイラギの甘えが目に余る感じになりました。


◆END6義理と道づれ(センリ)
ちょっと苦しいなと思いつつ、つけたエンドタイトル。センリが「義理でがんじがらめ」と自認していることと、義理の兄弟となったことから。





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